「人の心を動かす」教室長育成へ。“イズム”に立ち返るべくHeart Beat PROGRAMを導入
株式会社MAXISエデュケーション 教育事業本部 部長
杉本 拓也さん
首都圏や中部地区などを中心に学習塾88教室(2026年2月時点)を展開しているMAXISエデュケーション。同社では、現場の教室長が抱える特有の孤立感やマネジメントの壁といった課題を乗り越え、組織全体の一体感とエンゲージメントを高めるために、CUOREMOが提供する人材育成プログラム「HeartBeat PROGRAM」を導入いただきました。
今回は、同社の教育事業本部・部長の杉本さんに、人材育成にかける強い想いやプログラム導入の背景、そしてマネージャー陣に起こった劇的な変化について、「HeartBeat PROGRAM」事業責任者の加藤が話をうかがいました。
教室長が抱える「孤立」という課題と、数字を大きく左右する「人間力」

──まずは、御社の人材育成・組織作りについてお聞かせください。御社では人材育成やエンゲージメントにおいて、どのような課題をお持ちでしたでしょうか?
各教室には教室長という責任者がいるのですが、基本的に教室長はその教室に社員が1人、多くても2〜3人、という環境になっています。一般的なオフィスのように、みんなが周りにいるような状態とは違い、「社員1人とアルバイト講師の方」という環境がほとんどです。そのため各教室にいる社員は「何もしないとなかなか育たない」という課題があります。
ですが、教室の発展を考えると教室長の成長がなくてはならないため、現在は会社としても人材育成や研修に時間やお金、手間をかけていこうという方針を社長自らが発信しています。
──教室長が1人で問題を抱え込んだり、チームで議論する時間が少なかったりすることが、「育たない」ことの大きな理由なのでしょうか?
会社の中には「エリア」や「ブロック」といった数教室が集まる単位での議論の場や、オンラインの日次ミーティングはあります。ただ、教室ではその場その場での対応が中心になります。エリアマネージャーが訪問して授業や生徒対応を見てアドバイスすることもありますが、頻繁にその機会をつくることができないのが現状です。
──だからこそ、教室長自身の成長がキーになり、成長度合いによって教室の業績に偏りが出たりするのですね。
そうですね。分かりやすく言うと、人が変わると数字(業績)が本当に変わるんです。標準的で誰にでも再現できる仕組みも大事にしていますが、最終的に数字を伸ばすのはその人(教室長)のパフォーマンスによるところが非常に大きいんです。今は教材にAIやシステムが導入されて便利にはなっていますが、扱っているのは「人(子供)」であり、非常にアナログな領域です。だからこそパソコンスキルなどの表面的なものではなく、「人間力」が求められる仕事だと思っています。
僕らがよく言うのは「ただの管理者になっちゃダメ」ということです。パソコンばかり見て、生徒の管理や座席作成などの事務的なことだけをやって、授業は全く見ないような人にはなってほしくないんです。
教室長の一番の役割は「人の心を動かす」こと。新規出店よりも理念浸透を大切にする理由とは?

──なるほど。思っている以上に教室長の存在が大きいのだということが分かりました。
やっぱり「その教室長が作っている教室」になりますから。もちろん講師たちの存在も教室づくりには影響しますが、その講師を育てるのが教室長なので、やはり教室長の存在が一番大きいです。
そして、教室長の一番の役割は「人の心を動かす」ことなんです。各教科の指導はアルバイト講師がメインでやっていますが、勉強が苦手な子や将来を決めていない子をどうやる気にさせるか、宿題をやってこない子にどうやってもらうか、また、テストが返ってきた時に声をかけて一緒に振り返りをしてあげられるか、これらは子供からすると「何を言われるか」よりも「“誰に”言われるか」がとても重要で、信頼関係の作り方や教室長の人間性が大きく影響してきます。
私たちは講師研修の初回でよく「コップとお水の話」をします。うちの塾に来る子たちは比較的勉強が苦手な子や、親に言われて来る子も多いです。だから、先生がどれだけ素晴らしい解説(いい水)を流したとしても、生徒の心(コップ)が逆さまを向いていたら一滴も水は入りません。
教室長の役割は、いい水を流す前にコップを上向きにすること。どう生徒を褒め、一緒に目標を立てて認めて帰してあげるか、まずそこが大事だと伝えています。
──エンゲージメントやチームの一体感という点ではどのような課題感をお持ちだったのでしょうか?
教室長で結果を出していた人がエリアマネージャーになった時、「俺はこうやって結果を出した」と自分のやり方を部下に押し付けてもうまくいかなかったり、上司と部下の相性や信頼関係の構築で悩んだりするケースがありました。そのため、人を育てる考え方として、数年間をかけてあらためて会社の「イズム(理念)」を浸透させることに立ち戻り、さまざまなことに取り組んでいます。
問題が起きた時に「できない理由」ではなく「できる方法」を考えるプラス発想など、「イズム」と現場を繋げられるようになることを目指しています。
──御社における人材育成への重要度は?
それはもう「一番高い」と思っています。
以前は人が育っていない状態なのに無理に新規出店をして、結果として地域に支持されなかったり、従業員に過度な負担がかかって辞めてしまったり、といったことがありました。そのため、ここ数年は新規出店をずっと我慢して一切行わず、まずは人材をしっかり育てることに注力してきました。
マネージャー陣の自発的な声でHeartBeat PROGRAMを導入 ──「自分と向き合う」時間への期待
──では、弊社の「HeartBeat PROGRAM」を導入いただいた経緯や、期待されていた点を教えてください。
紹介を受けてこのサービスの情報をマネージャー陣に持ち帰ったところ、「やってみたい!」という声が自発的に上がったことからスタートしました。おそらくマネージャー陣も人材育成の面で悩んでいたのだと思います。これまではスキル系や営業系の研修がメインで、今回のプログラムのように「自分と向き合う」というアプローチの研修はあまり実績がありませんでした。
──最初はエリアマネージャーの方々を対象に実施していただきました。
はい。うちのエリアマネージャーはプレイングマネージャーとして最も現場に立っており、教室の生徒や部下とも深く関わる存在だからです。日々の忙しさや様々な問題の発生によって見失いがちだった、なぜこの仕事をやっているのか? という「原点」を思い出し、仕事への気持ちが上向きになってくれたらいいなと期待していました。
──研修では、みなさまが普段から熱い想いを持って接されているからこそ、ある種、その熱い想いが再熱したような熱気を感じました。
私たちは大企業ではないので、マーケティングや教務部など多様な部署が分かれているわけではありません。この規模感だからこそ、時には「この先どうなるんだろう」と先が見えなくなったり、閉塞感や行き詰まりを感じやすかったりします。そんな中でこのプログラムの導入は、閉塞感を自分自身で打破していくきっかけになったのではないかと感じています。
互いを深く知ることで生まれた一体感。シニア層の再点火と、業績における驚きの成果

──導入から現在までを振り返って、受講者の方々には具体的にどのような変化がありましたか?
まず全体として、自分の内面と向き合うと同時に、お互いのことを深く知る機会になり、「意外とこの人、こういう考えを持っていたんだ」と参加メンバーの間にチームとしての一体感が生まれたように思います。実際に参加した人たちが自発的に、社内イベントで「偏愛マップ」(研修内で体験するコンテンツ)を作ってみよう! という動きも生まれました。
──素晴らしい変化ですね。
個人の変化で言うと、少しお疲れ気味だな…と心配していたメンバーが、受講後に再び情熱を取り戻してがんばっています。おかげで生徒数が100名に届きそうなところまで伸びている教室も増えています。
また、静岡エリアでは、研修に参加した比較的年齢が上のメンバーたちが今、すごくがんばってくれています。ひとりは以前、エリアマネージャーからリーダーへ役職が下がってしまうなどうまくいかない時期があったのですが、研修の受講を機にもう一度奮起してくれています。
──年配の方々が「残りの人生で何を成し遂げられるかを改めて真剣に考えたい!」とおっしゃっていたのが非常に印象的でした。
本当にそうですね。最初は「自分の内面を扱う研修はみんな後ろ向きになるんじゃないか…」と心配していたメンバーもいましたが、まったくそんなことはありませんでした。最初は「自分にはできないかも」と悩んでいたある参加メンバーも、最終的にはしっかりと向き合い、形にできていました。
──研修後の参加者へのアンケートや調査レポートでも、「プログラム全体への満足度」が9.4(10点満点中)など、みなさまからは非常に高い評価をいただきました。レポート結果や実際のプログラムを見ていただき、どのように感じられましたか?
事後レポートを見て、「実はこういう機会を社員みんなが求めていたんだな」と感じました。
短期集中で対面でガッと行うので、受講中の課題など多少の負担はあったかもしれませんが、最終的には全員が「やって良かった」という前向きな印象を持って終えられました。
最初は「何をやるんだろう」と構えていたメンバーも、回を重ねるごとにプログラムに深く入り込んでいく様子が見て取れましたし、日頃からある程度関係性が構築されているメンバー同士が、お互いの内面や考えていることをより深く知る機会になったのが良かったですね。一般的な研修のような「これを学びましょう」という受け身のものとは全く性質が異なるので、そこがみんなにも響いたのだと思います。
組織文化と個人のビジョンを重ねる。あえて“社外のプロ”に伴走を依頼する意義がある

──今後、御社の人材育成や組織作りにおいて大切にしていきたいことは何ですか?
今は「多様性」が大切にされる時代ですが、「変えるべきもの」と「変えてはいけないもの」をしっかりと区別し、守るべき組織の文化である「イズム」は変えてはいけないと思っています。私たちの採用では最初からバリバリ仕事ができるスーパーエースが大量に採れるわけではなく、たまたま出会って興味を持って入社する人も多いです。ですからスタートは「0から1」かもしれませんが、そうした人たちをしっかりと育てていくことができる組織でありたいですね。個人のビジョンをあらためて会社の方向性と合わせるようチューニングしていく教育には、今後も力を入れていきたいです。
──今後、弊社や本プログラムをどのように活用していきたいか教えてください。
具体的には石川県の教室を管轄する北陸エリアのメンバーへの導入を考えています。北陸エリアは本社からの物理的な距離もあるため、より自立した組織運営が求められます。メンバーには主婦や介護をされている方もいて、他社から引き継いだ教室もあるため、入社時の背景が異なるメンバーもいます。そうしたメンバー同士の「心合わせ」をして、それぞれの向かう方向を見つけながらチーム力を引き上げたいです。
もうひとつは、キャリアの節目での活用です。入社2年目、3年目と経過していくと、どうしても「隣の芝生が青く見える」状態になり悩み出す時期が来ます。そのタイミングで「自分はこの会社で何がしたいのか」という原点に戻って考える機会を提供したいですね。
あえて「社外のプロ」に伴走してもらうからこそ、社内の目を気にせず遠慮なく本音を出せるのだと思います。社内だとどうしても「これが正解かな」「これは言っちゃダメかな」と忖度してしまいますから。
──御社の社長も先日、メンバーたちの“会社で実行したい目標”を共有する発表を聞かれて、「本音や想いを聞けて本当に良かった」とおっしゃっていましたね。
はい。社長もそういう「想い」の部分をとても大切にしていますし、自分がこれからどうしていきたいかを社長に直接宣言できたのは、社員にとっても素晴らしい機会になったと思います。
今後は、シニア層に対して残りの現役期間で何をしていくのかを再定義する機会や、考え方のクセがどうしても内向きになりがちなメンバーに対して、コーチングのプロの方に定期的に個別で関わっていただくなど、私たちも横で学べるような機会があると非常に面白いなと思っています。
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